「あとで困らない川口市」のために
―― 第三セクターは「市民負担のブラックボックス」になり得る
川口市の例はこちら→ 川口市の第三セクターは財務内容の公開を
はじめに
第三セクター(自治体が出資・関与する半官半民組織)は、地域振興・都市再開発・公共サービス維持の重要な役割を担います。一方で、全国各地で
赤字補填に税金が使われる
情報公開が不十分
天下りや関連企業の利益誘導につながる
といった課題が散見されます。
こうした「リスク事例」を知ることは、川口市でも第三セクターの透明性・ガバナンス強化を検討するうえでの重要な基礎資料となります。
1. 札幌ドーム(北海道札幌市)
・概要: 第三セクター「札幌ドーム株式会社」が運営。日ハム移転後、赤字が拡大(2024年度で6億5,100万円赤字)。自治体(札幌市)が税金を投入して黒字化を図るが、運営は放漫で天下り先として機能。社長(元市職員)が高額報酬を受け取りつつ、赤字を市民負担に転嫁で社長交代。
・問題発覚: 日ハム移転後の経営悪化で、メディアやSNSで「公金チューチュー」の典型例として批判。民間提案を無視し、第三セクターの天下り体質が露呈。
・スキームの類似点: 自治体 → 第三セクター(赤字) → 天下り役員(高給)。関連会社(イベント委託先)も黒字化の恩恵を受けるが、第三セクター本体は赤字補填依存。
2. 淡路夢舞台(兵庫県淡路市)
・概要: 兵庫県が約800億円を投じてホテル・会議場などを整備。第三セクター「淡路夢舞台株式会社」が運営し、稼働率20%程度で赤字続き。毎年10億円以上の修繕費を県費で補填。社長は県庁OB(天下り)が歴任。
・問題発覚: 2025年に斎藤知事が民営化を発表し、過去の負の遺産として公表。井戸前知事時代に天下り先として活用され、赤字を垂れ流していたことが明らか。
・スキームの類似点: 自治体(県) → 第三セクター(赤字) → 天下り役員・関連委託会社(黒字)。銀行への利子支払いも公金で肩代わり。
3. 天王寺再開発(大阪市)
・概要: 第三セクターが主導した再開発事業で、全ての事業が赤字化。自治体が公金を投入するも、天下り役員が高額報酬を得る構造。
・問題発覚: 事業失敗後、灰燼に帰し、市民負担が増大。フェスティバルゲートなど類似事例も指摘され、公金流出の典型として議論。
・スキームの類似点: 自治体 → 第三セクター(赤字) → 関連会社(銀行など黒字)。天下りで2年交代の退職金サイクル。
4. 青い森鉄道(青森県)
・概要: 第三セクター鉄道会社で、旅客収入減少による赤字。県からの助成金・補助金で補填。社長は天下り役人。
・問題発覚: 大雪などの影響で赤字拡大が報じられ、天下り体質が批判。民営化の議論も。
・スキームの類似点: 自治体 → 第三セクター(赤字) → 天下り社長(報酬確保)。関連委託で民間黒字。
5. 旭川振興公社(北海道旭川市)
・概要: 旭川市の第三セクターの筆頭格で、市退職者(天下り)役員を増員。赤字圧縮を指導されるも、運営は非効率。
・問題発覚: 市議会で増員案が提案され、天下り拡大として批判。公金補填の構造が露呈。
・スキームの類似点: 自治体 → 第三セクター(赤字) → 天下り役員(増員確保)。賃金最低水準の職員とは対照。
6. ひょうご農林機構(兵庫県)
・概要: 売上23億円に対し支出36億円の赤字体質。利子363億円のうち60億円を県が補給。銀行借り入れを県貸付に切り替え、天下り構造。
・問題発覚: 斎藤知事時代に構造改革が議論され、井戸前知事の負の遺産として公表。銀行が「甘い顧客」として利益を得る。
・スキームの類似点: 自治体 → 第三セクター類似(赤字) → 関連銀行(黒字)。公金で利子肩代わり。
7. 大阪市の「WTC(大阪ワールドトレードセンター)」
かつての大阪市における第三セクター問題の象徴。
・概要: 大阪市が巨額出資したWTCが、清掃や警備、ビル管理を特定の「ファミリー企業(OBの再就職先)」へ高額で発注。
・問題発覚: WTC本体は経営破綻し、多額の公金が投入。
・スキームの類似点:その周辺の維持管理会社は安定した利益を得続けていた。橋下徹知事(当時)による改革のターゲットに。
8. 多くの官民ファンド(全国的)
・概要: 第三セクターに似た半官半民構造で、累積赤字膨張。官僚天下り先として機能し、投資判断が甘い。
・問題発覚: メディアで「第三セクターの二の舞」と指摘。運用下手で公金流出。
・スキームの類似点: 政府・自治体 → ファンド(赤字) → 天下り・関連企業(黒字)。責任曖昧。
9. 地方空港のビル管理・駐車場運営
多くの地方空港で見られる構図。
・構造: 空港を運営する第三セクターは赤字。しかし、その傘下にある「売店運営」「給油」「駐車場管理」を行う子会社は独占権を持っており、大黒字。
・問題点: 子会社の利益を親会社(セクター)の赤字補填に回さず、天下り役員の給与や内部留保に充てているケースが会計検査等でたびたび指摘。
10.ゴミ処理施設・上下水道の維持管理
・構造: 自治体から清掃公社(三セク)へ、そこからさらに「保守点検会社」へ発注。
・実例: 某自治体では、三セクの役員が自らの息がかかった民間会社に有利な条件で再委託を行い、リベートを受け取っていたとして背任容疑で捜査対象になったケースも。
11.BPO(事務作業などのアウトソース:業務委託)の多重下請け
・構造: 自治体から大手広告代理店やパソナ等の企業が受託し、そこから数段階の下請けを経て、実務は低賃金で行われる一方、中間マージン(公金)が不透明に残る構造。
・実例:コロナ関連の各種給付金で多段の大幅な中抜きが話題に。
12.一般社団法人を活用したスキーム
・構造: 第三セクター法人よりもさらに監視の目が届きにくい「一般社団法人」を作り、そこを経由して特定の団体や企業へ予算を流す手法。
その他の指摘事例(広範な問題)
・豊橋新アリーナ(愛知県豊橋市): 第三セクター箱物で大赤字予測。天下り役所OBがメリット享受。
・南信州観光公社(長野県飯田市): 第三セクターで行政犯罪の元凶と指摘。公金流用疑い。
・地域新電力(全国): 第三セクター方式で公金運用が投入。天下り助長。
・神戸市第三セクター(兵庫県神戸市): 天下り赤字法人作りまくり。同和関連で公金流出。
まとめ:第三セクターと自治の課題
今回紹介したように、全国には多様な第三セクターの負の側面が存在します。
巨額補填と税金依存
天下り・役員報酬の非対称性
財務内容の公開不足
黒字関連会社と赤字本体の不透明な関係
これは単なる「個別事例」ではなく、制度設計上のリスクとして全国的に見られる構造です。
川口市での第三セクター改革(財務公開・ガバナンス強化)は、「あとで困らない川口市」のためにこうした全国事例を踏まえることでより説得力ある政策提案として実現性を高めることができます。