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市民投票条例(住民投票制度)を意味ある制度への改正


市民が参加できる川口に。

―― 実効性ある住民投票制度で民主主義を市民の手に


はじめに

川口市には「市民投票条例」があります。しかし、現行条例では、住民投票の実施条件や結果の効力が極めて限定的で、市民が政策決定に意思を反映する仕組みとしてまともに機能できません。

 ⇒川口市 市民投票条例

市民参加を保障する制度としては、形式上存在するだけで、民意が政策に反映されにくい構造になっています。そこで、本稿では、川口市での課題と改善案、さらに市長が住民投票を活用したい状況や発議例も含めて整理します。


現行条例の課題

① 開票条件の高さ

現行条例では、投票率が 50%以上 でないと開票されません。
川口市の最近の市長選の投票率は20%台前半です。
つまり、ほとんどの場合、住民投票が開票されないのです。

このため、住民投票を行っても、民意が政策に反映される可能性は極めて低く、市民参加の実効性が事実上失われています。

② 署名要件が過剰

条例では、発議には有権者の 6分の1(約8万人超) の署名が必要です。これは市長選挙の当選者(つまり現市長の得票数)にも匹敵しています。他自治体では地方自治法が定める直接請求権の条例の制定・改廃と同じ1/50が多いことも考えても、川口市のハードルは非常に高く、市民自らが住民投票を起こすのは極めて困難です。

③ 結果の効力が弱い

投票の結果は市長や議会が「尊重する」だけで法的拘束力はありません。たとえ市民の多数が賛成しても、議会や市長が結果を無視できる構造です。これでは、住民投票の制度設計自体が市民参加を阻む逆機能を果たしています。


市長(や議会)が住民投票を活用したくなる状況の想定

住民投票は、市民の意思を政策に反映させる手段です。例えば市長(や議会)が活用するケースとしては次のような状況が考えられます。

    1. 大型開発や公共事業の是非

      • 例:再開発や大型施設建設に対し市民の意見が割れている場合

      • 市長がみずから住民投票を発議することで、民意を明確に確認できる

    2. 住民の意見が強く対立している政策課題

      • 例:都市計画や環境対策、福祉政策の変更

      • 議会だけでは判断が難しい場合、住民の意思を直接確認する手段として活用

    3. 少数与党市長の状況下で市長提案を議会で否決された際に、市長がそれを市民に問いたいとき

      • 市民の意思を確認し、政策の正当性を高めることで、議会や市民からの理解と納得を得やすくなる

このように、住民投票は市民参加を促すだけでなく、行政の意思決定を補完するツールとしても有効です。


市長自ら住民投票を発議する仮想例

  • 〇〇市(仮想例)
    市長が是非でもめそうな大型公共事業で市民投票を発議。
    → 市民の意思が明確になり、議会の承認も円滑に進む。

  • △〇市(仮想例)
    市長提案した公共交通再編が議会に否決されたが、住民にそれを問いたい時に住民投票を発議。
    → 市民の意見が政策に反映されやすくなる。

川口市でも、こうした市民意思確認型の住民投票が可能になる制度設計が求められます。


改革の方向性

川口市の住民投票制度を実効性あるものにするには、次の改正が必要です。

  1. 開票条件の緩和・撤廃
    → 50%以上という過剰なハードルを下げ、低投票率でも開票可能に。署名条件を満たしたのだから選挙のように低投票率でも無条件開票もあり。

  2. 署名要件の引き下げ
    → 有権者の1/50〜1/100程度に変更し、市民が主体的に発議可能に
    →ちなみに1/50というのは地方自治法で定められた条例の制定・改廃時の要件

  3. 結果の実効力強化
    → 市長・議会が結果を尊重するだけでなく、条件付きで政策決定に反映する

  4. 市長発議型住民投票の明文化
    → 市長が政策課題で市民意思を確認したい場合に発議できる制度設計に

  5. 電子署名・オンライン投票の活用
    → 署名集めや投票参加の負担を軽減

 

 


地方自治法で定められた住民直接請求権

 

署名数自体のハードルと、「1〜2か月」という短い期間制限のハードルの両方に問題がある。これらは制度の濫用を防ぎつつ、住民の意思を反映させるためのバランスともいえるが、実際には制度の濫用はおこなわれているとは言えない。全国に地方自治体は1800弱あるが、過去に一度も住民直接請求権が実施されたことがない自治体がほとんどのはずである。首長へのリコール運動自体は時々あるが、それが実施された例は極めて稀で全国ニュースになるぐらいである。本来は下記のハードルはより下げるべきであろう。

こちらも時代遅れともいえるが、まとめは下記

請求の種類必要署名数(条件)請求先請求後の流れ
条例の制定・改廃有権者の 50分の1 以上長(知事・市町村長)長が議会に付議し、結果を公表
事務の監査請求有権者の 50分の1 以上監査委員監査委員が監査を実施し、結果を公表
議会の解散請求有権者の 3分の1※ 以上選挙管理委員会住民投票を行い、過半数の賛成で解散
議員・長の解職(リコール)有権者の 3分の1※ 以上選挙管理委員会住民投票を行い、過半数の賛成で失職
主要公務員の解職有権者の 3分の1 以上長(知事・市町村長)議会に諮り、議員の3分の2以上の出席+4分の3以上の同意で失職

有権者数が多い自治体では、3分の1の署名を集めるのが極めて困難なため、以下に緩和
40万人を超える分については、その「6分の1」
80万人を超える分については、その「8割(8分の1)」 を合算した数が必要数となります。

 


まとめ

現行川口市の住民投票制度は、形式上存在するだけで市民参加を実効的に保証していません。
改革により、

  • 開票条件・署名要件を現実的にする

  • 結果を政策に反映させる

  • 市長や議会が市民の意思を適切に確認できる

といった仕組みを整えることで、「市民が参加できる川口」が具体的に実現します。
市民が意思を示す制度として機能することが、地方自治の本旨にかなった制度改革です。

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